六本のポプラ
忙しいので川辺に行った
流れの蛇行する所に立つ
六本並んだポプラの木々を見るために
眠れぬほどの忙しさは
私を私から奪う
なにがあっても
魂の抜けることの無い大きな木々に
私は子供のころから信頼を寄せている
ポプラの一本一本の位置を確かめて
一番好きな木に手を触れて
川面に落ちる影をしばらくながめ
そしてまた町に戻る
「電話が五件入っています」
留守番電話につながっている
コンピュータの画面が
とがめるように光っている
「ごめんなさい。ちょっと確認に行ってたので」
私は画面に向かってつぶやく
― 私の魂の行方について、ですけど…