秋晴れの日 坂道を登って浄水場へ行った 浄水場の敷地には 水道記念館があって 前庭には四季に花が咲くことが 花の名前のプレートで分かった
私の頭の単語帳にある名前は ツツジ ボタン シャクヤク 機械や貿易の単語は 指の先まで覚えているのに 植物の呼び名が分からない
庭には 明治時代の送水管や 仕切弁が置いてあった 私はひとしきり 誰にも会わずに それらを見て廻った コンクリートに 自分の影が映り 午後の陽に 骨が細く透けて見えていた