猫が死んだら 灰にして 桜の咲く雨の夜に そっと根元に 撒きに行こう
明くる朝 桜の花びらは 少し青みを増して 二百メートル離れた アパートのバルコニーに 風に乗って 流れて来る
それが猫の 最後の挨拶 もう思ってはいけない 猫は桜になったのだし 私はまださびしいこの世界で 生きているのだし