晴れた日には 白い光のなかで目立たないけれど 雨の日には 自家発光体となって 傘の下でもはしゃいでいた
身内の葬式の日ですら 細い閃光を発するので 列席者は思わず 片手で顔を覆った
そんな女性の死んだ年齢に近づいて 顔が生き写しだといわれる私は 晴れた日にも雨の日にも もう1年も鏡を見ていない 鏡に青カビが煙っている
カビはやがて 私の足元から頭を覆い そうして私はやっと 静かな平安を取り戻すのだ 熾火が消えていった あの女性の最期の日々のように