地下道から上がったところが 市役所通り 会社まで続くまっすぐな舗道
自転車を押して通り過ぎる高校生 銀杏の陰からこちらを見ている小学生 急ぎ足で追い越して行く 肩が少し丸みを帯びた女性 甘い声で朝の「おはようございます」を 上司らしき男にしているのは誰? それは誰? すべてが自分の姿だと気づいた時に 会社の前にいた
両開き自動ドアの向こうにいるのは 小さな男の子 男の子はドアをすり抜けて 透明な風になって消えて行った 私はそれが誰だか分かる 生まれそこなった私の子ども