北の国の友人が 私の住む南の町にやって来て テーブルの上に置いた 黒曜石 それは手のひらに納まるほどの 大きさで 研磨した面に おどけた顔のふくろうが 彫ってあった
説明書によれば それは百五十万年前の天然ガラス それは百五十万年間の北国と別れて 知らない土地のテーブルに無造作に 置かれた
ふくろうの後ろは ごつごつした岩肌で 鮮血色の流線が走っている
小さな太古の石の移動ならば それはしゃれたプレゼント 百五十万年の想いが入っているならば それはいつまでも止まらない 鮮血の痛み