キーノ夫婦と樽酒場
聞けば、今日はこのGuadix街の守護聖人、聖トルクアトの祝日で、楽隊を引き連れたその聖トルクアトが乗った山車が町中をゆっくりと荘厳にパレードしていた。
町中、どこもやってはおらず、夜8時の飲み会もキャンセルかと思っていたら、8時を過ぎたら営業する飲み屋や店が出てきて、Guadixに来たら必ずや、というボデガ(樽酒屋)「Bodeguilla(ボデギージャ)」も8時過ぎに開店した。やるじゃん。
店の人が2年前の私の顔を覚えていてくれて、その意を察してくれて、生ハムと焼きイモのタパ(突き出し)を出してくれた。粋だねぇ。
昔は店内は薄暗く、おっさんか年寄りしかいなかった雰囲気があるが、今はリニューアルして店内は明るくなり老若男女であふれ返っている。
グラナダのマヌエルに聞くと、自分の樽倉庫を持っていてそこからワインを提供するのがボデガと称する飲み屋だそうだ。へぇ、勉強になった。
それぞれの街で生まれ育った人を、日本の「江戸っ子」や「薩摩隼人」、「道産子」などのように、マラガならMalagueño(マラゲーニョ)、マドリッドならMadrileño(マドリレーニョ)と称する。グラナダだとGranadino(グラナディーノ)なのだが、なまったグラナイーノと言わないとお叱りを受ける。ここGuadixもGuadijeño(グゥアディヘーニョ)があるが、旧称のAccitano(アクシターノ)と言わないとお叱りを受ける。それぞれ強い地元愛からなのだが、ちょっと羨ましい。
スペイン滞在最終日、ホアキン夫婦と昼飯をとった。
まず最初に昨夜も行った樽酒場(ボデガ)のボデギィージャへ行った。ここのマスターには良くしてもらい、むせりまくった時にはわざわざ売り物のボトルの水を持ってきてくれたり、店を出る時には記念にとアンダルシア特産のキーホルダーをもくれ、そして昨夜は勘定を安くしてもらい感謝の念が堪えない。この町では一番のお気に入りの飲み屋なので、何よりも嬉しく、ビバ・ボデギィージャだ。
いろいろなタパ(つまみ)がでたが、サービスなのかてんこ盛りの生ソラ豆がそのまま出てきた。先週グラナダのマヌエル宅で、このソラ豆をそのまま食べたが、1986年に初めてこのボデギィージャに来て、最初に出てきたのがこのソラ豆だった。塩もなにもなく、これが美味いものかが良く分からなかった当時。ただ、やはり日本人なら塩パラが欲しいところだ。小瓶に入った塩は置いていないので頼めば盛り塩がくるかもしれないが、面倒なので塩なしでがんばって食べた。
2軒目は、奥さんの家族がやっている前回も行ったバルレストラン「カート・ルイス(Cart Luis)」。
手前の皿は、キノコとツナ、生ハムなどを炒めた料理(名称失念)で、見た目はごちゃごちゃしているけどシンプルに炒めたこういう料理は日本人好みだ。
また、トマトサラダという名称が存在していて、ビネガーとオリーブ油、塩でササッっと作ったこれもシンプルなものだけど、塩気がトマトの美味さをひき出していて、自然なトマトの味がした。日本のトマトは塩をかけてもあまり風味がないのだけど種類が違うのだろうか。
昼からバカ飲みしていたのは若い頃のことで、ちゃんと歳をとったので、それほど飲めなくなったよ、とあらかじめお断りをしておくも、気がつくと1本空けてしまった。
相変わらず、アンダルシア人は、ワインの会社名で有名なリオハではなく、リベラ・デル・ドゥエロゥを勧める。そもそもリベラ・デル・ドゥエロゥはワイン会社の名称であって、銘柄ではないので、いろいろなリベラ・デル・ドゥエロゥがあると思うのだが、いずれも美味いから良いか。
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