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ルルデのお弁当
日本に戻る最終日、日本を発つ前から分かってはいたのだけど、Guadixのホテル → グラナダ中央バス駅 → グラナダ空港へのスムーズなバスの乗り継ぎがあまりにも外国人にとって悪すぎる。
飛行機は17:30発なのでグラナダ中央バス駅発のは1時間前に着く16:40着のバスがあるのだが、荷物の確認などもあるので、その前のバスを望むも12:40着しかなく、それに間に合うようなGuadixからのバスは10:30しかなく無駄ばかりの最終日だ。
その前日、昼食を共にした旧友キーノ夫婦に、その自虐ネタを披露したら、キーノ(KINO)は「それなら主夫やってるから車で送ってこうか」と言ってくれた。願ってもないことだが、Guadixから空港まで80kmぐらいあるその送迎に甘えてしまえば、以降キーノと対等に接することができなくなるので、その親切過ぎる提案だけ大感謝してお断りした。
荷物はもう重たくなく13kg。
結局グラナダ発の飛行機に間に合うGuadix発12:40のバスまで、ルルデの家で時間をつぶした。ただ、滞在中ずっとルルデに世話になり、最後のお別れがやってくる淋しさが二人は感じているのか、いつものような陽気な会話が少なく、なんとなく沈黙が続いていた。
ふと、ルルデが「ケン、どこかで食べられるよう何かサンドイッチとか作ってあげようか」と言う。嬉しいな、こういう事を言ってくれて。
「玉子焼きと生ハムとかを挟んでくれる?」、とお願いした。ここで言うサンドイッチは、スペインで言うフランスパン(バゲット)にそれらを挟む「ボカディージョ(Bocadillo)」の意味で、日本でいうようなサンドイッチではない。これ、Bocaは口という意味があるから、口でかぶりつくみたいなところから来ているのかも。
また、こういう弁当は「メリエンダ(merienda)」と称し、「午後の軽食、野外での弁当」の意味を持ち、昔からアルミホイルに包んだのを特急列車タルゴの車両内で良く見かけていた。
しかし、最近「弁当」という単語の「fiambrera(フィアンブレ)」があるのを言葉を知った。辞書では、「弁当箱・密封容器・ハムなどを持ち運ぶ箱」としかないが、スペイン語を習っているグラナダ出身の先生も「弁当(箱)はスペイン語にもあるよ」と言い、ルルデに聞いたらあるよ、との返答。
働いている時も自宅に戻って昼食をとるのだが普通のスペインでの生活形態なのだが、現場が遠くて自宅に戻れない時、またはピクニックで出かけてる時などは、この弁当(箱)を持ってでかける、と言っていた。弁当は良いのだけど、本当に日本のような「箱」に入れているのかな?などの詳細を聞こうと思っていたらバスの時間となってしまった。
日本で言うのなら、田舎に遊びに行って帰る時に、田舎のばーちゃんが「ケン坊、弁当作っといたから、帰りの列車の中で食いな」と、たくわんの入ったおむすびをくれるようなもんだ。やはり、ルルデは、いろいろ私に気遣いをしてくれて年齢的に姉貴みたいな存在だ。感謝だ。
 グラナダバス中央駅に着いたのは13:40。トイレ行って一服し、ペットボトルの水などを買ったりして時間をつぶし、そしてタクシーに乗った。
定番の、何処まで行くの?どこから来たの?みたいな質問をタクシーのうんちゃんに聞かれた後に「空港までのバスって、13時から16時まで、まったくないよね。昼食とその後のシエスタの時間って、スペイン人みんな仕事したくないんじゃない?」と言ったら、タクシーの運ちゃん、妙にウケてた。「タクシーの料金表には、空港まで25ユーロ(4,400円)ってあったけど少し安くない?」と聞いたら、「昔の価格設定なので、良くトラブルが起きるよ」、とタクシーのウンちゃんは困惑していた。
グラナダバス駅からグラナダ空港まで20km弱、33.8€(5,500円/週末料金)で、14:30に空港到着。
首都圏に住んでいる人にとって空港は、羽田・成田とかだけど、地方空港って本数が少ないないから発着以外の時間はゴーストタウンならぬゴースト空港になっていて誰もいない。
入り口の手前周辺には、テーブルや椅子、灰皿などがあったので、そこでルルデ姉貴の弁当を広げた。
空は一つないブルーで乾燥した涼しい風がそよぐ誰もいないテーブルで一人それを食する。ルルデが作ってくれた弁当、まずい訳がない。涙が出るくらいに美味い、美味過ぎる。ジュースも2パック、やるな。
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