決して黒い羊ではない 少し青みを帯びた灰色の羊 白い羊の群れにいて 灰色の羊は影のように揺れている
小雨の中で草を食む姿は ほとんど透明がかっていて 牧童すらも気づかない
牧舎に帰る道 振り返ると灰色の羊が 後ろを歩いていて 牧童は 「ああ」とか「ええ」とか 忘れていた存在に驚くが 灰色の羊は ただ自分の命に沿って 生きているだけなのだ