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Time To Time 2008-2010 : 36-35
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婆(ばば)の窓


バスを降りる
白いワンピースに麦わら帽子の婆
重い荷物を持ってくれというので
一緒に歩き出す
婆の家は丘の中腹
私の家の丘と
バス通りをはさんで向かい側
婆は話す
ニーチェ、ゴーリキー
サルトル、三島由紀夫
告白するように言う
アメリカに住んでいたと
アメリカ、アメリカ、アメリカ
聞いたことのない町の名前
婆の愛してやまない田舎町
家についた途端
婆は無言で荷物を受け取り
急に怖い声で
「バーイ!」と言って
ドアを閉めた

確かめるようになった
婆の窓に灯りがともっているかと
三ヶ月ともり
その後は真っ暗
婆は引っ越したのかもしれないし
遠くへ旅立って行ったのかもしれない
アメリカの町を見下ろし
それより遠い彼方へ

Time To Time 2008-2010

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