青 空
路を挟んで建つ
石造りの家
どの家の窓も
カーテンや鎧戸が閉まり
人声も郭公の声も聞こえず
路は真っ直ぐに村を突っ切って伸びている
この時間
光は右側の家々に白く反射し
左側は不機嫌な程に暗い
中庭のあるホテルに入る
入口は閉まっていて
一便早いバスで来たことを後悔する
旅はいつもこんな風
藤の下がった壁に寄りかかり
今日は何曜日か考える
何か考えなければ
考えることがない
噴水の向こう側で
天使が三人
翼を繕いながら
地元の言葉で会話している
主人はあと二時間程で戻るらしい
わざと知らせるように話をした天使に感謝して
頭を下げると
天使は何も知らないという表情で
青空の中に飛んで行った