「それでは、風船を飛ばします! 百個の風船が空を舞います!」 海のフェスティバル会場で拍手
そして二分後に風船は忘れられた
木陰からそれを見ていた 否応なく成層圏に向かって 上がって行く風船たち
最初は色が見えていたが やがて胡麻粒ほどの点となり まばたきをすると分からなくなり それでもまた見つけ そしてまったく姿を消した 風船
飛んでいる時や 大気に消えるときは怖いか きっと違う 風船は飛ぶのが好きだから 青空で果てる命は 透明なほど美しい