闘 牛
まだ陽射しが地面に突き刺さる道を
指さす方向に向かって行くと
人の影が増えて
町のはずれの闘牛場は
日陰席からいっぱいに
トランペットとアコーディオンの
調子外れのプレリュード
黒牛と人間の闘いは血の匂い
人間の圧勝のうちに場外に出れば
三頭の牛が
肉塊となって下がっている
残光のなか
振り返り友人と話す若者
山羊を連れている三人家族
町へ帰る人々
牛の一部をビニール袋に詰めて
やがて楽隊も闘牛士も
おんぼろ車で遠ざかり
ブエナスノーチェス
三頭の牛はまだそこで
半月の光を浴びているか
背骨と脊髄になって