熊本空港十八時 異界から呼び寄せたじい様ばあ様父親を ショルダーバッグに詰め込み 死んでからも家にいる仲良しの猫を ポケットに入れ 今年も五人でやって来た
十一月は死者の月
ここはじい様の故郷 じい様はここを離れてアメリカへ渡ったが またこの在所に帰って来た 故郷のない私は せめて本籍地にやって来るのだ ただ不知火の海を見に 労働賃金を航空券に換えて
五人の魂は解放されて 不知火のようにゆらゆらと揺れ 私の魂は いつの間にか海の上に在る