もう若くない女性の採用面接に 試験官は驚きたじろぎ 随分離れた被告席みたいな椅子を示した 女性は黙って椅子を机に引き寄せ 試験官は寄り目になった 女性の魂の正義の線引き 女性の良心の見せどころ
採用通知を手に入れた ありがとう試験官 ありがとう椎の実 ありがとう三毛猫 ありがとう青空
都会に通い始めた 小さなドルフィンの背に乗って 濡れた背中から降りて エレベーターホールに入ると あの試験官の目が まん丸のまま寄り目になって そのまま目礼した