星が海に落ちずに 平野の向こうに光っている 風は塩の匂いを含まず 草の根の苦い味がする いつも朝は霧だ 霧の中に見え隠れする舟の代わりに うつけたような太陽が淡く浮いている 100キロ離れた海を思うわたしに 同居人は風呂場にペンキで魚を画いた 三匹の青い魚と居る時と 電話にクロールしながら近づいて行く時と 同居人の魚のような体に触れる時だけ 太陽は海の底で弱い光を放っている