電話が鳴った 浴室のタイルにコップが落ちた 浴槽から出た足が破片を踏んだ 廊下に出て電話の所へつま爪先だけで走る 逢ってはならない恋人と 週末の計画をたてる かかとから鮮血がほとばしる 体からそろそろ冷たい水が落ちる 赤い水溜まりが床に拡がって行く 床が少しゆがんでいるので 水溜まりは一定方向に移動する 床が揺れる 天井が揺れる もう廊下一杯血の海で 恋人の愛の言葉を聞きながら 体がスローモーションで床に近づいて行く