マリアンヌ
マリアンヌの骨董屋さんは
パリ、サンジェルマン大通り
サンジェルマン・デ・プレのはすむかい
マリアンヌの喜びと
マリアンヌの哀しみが
いっしょくたになって並んでいる
骨董品の間に置かれた
マリアンヌの思い出の品々
三人の元気な人形たちは
マリアンヌが一番幸せだった頃のもの
生きているみたいに元気がいいので
いつも子供たちの人気の的
緑色した大時計は
嫁入り道具に買ったもの
なのにフィアンセは戦争から戻らず
時計はその日からでたらめに時を刻む
マリアンヌ
マリアンヌはもう八十のおばあさん
お店の硝子のドアを開けると
骨董品のようなマリアンヌが
それでもとてもかわいい笑顔で
“ボンジュール”
と、言ってくれます