運転手がブラインドを上げた 霧の中から飛び出す二本の線路が 胸を突き刺して過ぎていく もう二度と乗らない駅から いつもの顔して乗り込んだ (わたしらしく) 二つ目の駅で乗り換えるつもり (いつもどおりに) 霧さえ出ていなかったら あるいは ブラインドさえ上がらなかったら わたしのニヒルなシーン作りも 100%完成していたのに いまいましい霧の中で ふいに線路に胸を刺されて わたしはめまいを覚え 床に膝をついてうずくまってしまった