あたりは興奮して まるで金属色に反射している そこだけレース編みのように 賑やかに雨は川面に降り注ぐ
こんな日に傘を差してはいけない 守護の楡の木の下に立って 待ってみよう ほんの少しの時間だけ
魚が川面を跳んでいる 女郎花がいっせいに揺れる
雨は突然に去り すべてのものが揺れる 青年が自転車を漕ぎ出す 天気雨は東に流れ行く
取り残された私の心だけ あはあはと笑いながら 行き場を失って いつまでも揺れている