その古書店は 地方都市の片隅にある 半地下にあるので 光の量も半分で 通りを過ぎる人々の脚が 淡い光に影を作る
おや いつもはほとんど人がいないのに 今日は騒がしい 熊のような男が 一篇の詩と生活について話し 羊やロバやオウムや猫が熱心に聴いている やがて半地下から階段を昇り 去ってゆく蹄の音
熊も時代遅れのトレンチコートを着ると 店主に挨拶して出て行った 店主はいつものように 灯りをひとつだけ残す 紙袋から塩パンを出してかじりながら タゴールの続きを読む