石灰岩でできた島は あまりに乾いていて オリーブと夾竹桃と 葡萄が生えていた ジャスミンがあれば それは幸い
北の対岸には 岩が立っていて あまりの乾気に笑ってしまい その口を潮が洗った
この島に来たのは二度目 一度目は旅行者として 二度目は忘れ物を探しに
昼間は葡萄棚の下で 海面下の見えない魚を想った 夜には星が降った 対岸の岩の顔がゆがむ どうして泣いているのか 「放っておいて」 「放っておいて」 夜目に白い波が 大きな口を濯ぐ