特急プユマ号
昨年辺りから台湾鉄道に登場した新型車両の特別特急プユマ号。
早いスピードで、と言うよりも停まる駅を減らして所要時間を短縮した感じだが、従来の特急だと台北〜羅東間が1時間40分から2時間近くかかるところ、このプユマ号だと20分ぐらい短縮されるので、かなり早くなったと言える。新幹線もそうだけど、時刻表がネットで見られるので旅行日程が立てやすい。運賃は従来の特急と同じなのがまた嬉しく、是非JRに見習って欲しいところである。
白地に赤のプユマ号だけど、車内もその赤を基調としていて妙に可愛い。座席も2列なので幅広く、その座席も人間工学的に設計されていて新幹線のより座り心地が良い。プユマは「普悠瑪(ぷぅよーまぁ)」とあったので、ピューマ(Puma)からの造語と思っていたら、東海岸辺りに住む先住民族の名前のようだ。だから台北とかから台東の間を走っている訳だ。なるほど〜。
羅東駅に着きホームの階段を上ると、インフォメーションの受付みたいなおばちゃんに「何処から来たのですか」と声をかけられたので、「日本からですが・・」。
「いや、そうではなく、何処から乗って来ましたか」と言うので、「台北からですが・・」。
「キップを見せてください」、キップを渡すと、おばちゃんのポケットにしまおうとするので、「ちょっと待って、記念にそのキップを欲しいのですが」。するとおばちゃん、「それならどうぞ持っていってください」。
このおばちゃん、誰?と思っていたら、改札機がなくそのまま通路に出てしまった。このおばちゃんが改札なのか。でも、通路の反対側には改札機があるので、ホームの階段によって改札機があったりなかったりするようだ。確か宜蘭線の八堵駅か四腳亭駅もそんな感じで、良く分からない台湾の駅事情である。
駅舎内の標識に従って東口に出てみれば、羅東駅は以前車で来たことがあるけど、こんな感じだったっけ?コンビニも何もない広い平地の中に工事中のものが点在している光景が広がっていた。目の前には新しくできたバスターミナルがあり、受付で聞いてみると国立伝統芸術センターは外にあるバス停の620か621のバスに乗れば良いとのこと。旅悠カードで乗ったので幾らだったか忘れたけど30分ぐらい乗っていた。
入り口で一服している私を置いて、叔父はさっさと入場券窓口へ行き自分のキップを買って「ケン坊、75元(240円)だよ〜」。続いて私も75元払おうと思ったら「65歳以上ですか」と聞かれた。そんな訳ないので通常の150元(480円)を払った。叔父のは老人優待料だが、特に証明書提示を求められなかったので容貌からの顔パスだ。日本なら確実に証明書提示を求めるし、かつ叔父はどっから見ても外国人なんだけど、こういう暖かい対応は台湾らしい。
入り口には、日本語や韓国語で記された地図入りガイド小冊子が置いてある。
メインストリートは、三峡老街を彷彿させるような赤レンガ仕立ての日本統治時代風の建物が建ち並んでいる。その軒下には食べ物屋などもあるが、基本的に伝統芸術の施設なので、ガラス細工や筆作りや陶芸などの工房等が多く軒を連ねている。また、他の建物も清代などの建築様式を模していて歴史的な雰囲気に満ちあふれている。
その通りを抜けると舞台のある広場に出る。ちょうど子供向けの京劇みたいなのをやっていた。台湾人ならみな知っている内容だと思うが、日本人の私には全く分からなかった。
その奥にフードコートタイプの大きなレストランの建物がある。写真パネルもあるので、鶏肉なのか豚肉なのか、フライなのか煮込んだモノなのかなど思いっきり間違うことがないのが嬉しい。おそらく日本のスタイルからだろう、ご飯とスープのついた定食タイプのがあり、叔父は豚肉の照焼きを、私はモヤシ豚肉炒めを頼んだ。
食後、運河を渡った小島に建つ四合院みたいな家に行く。清代に在台湾の人が科挙に受かり、挙人として過ごした家をここに移築したらしい。当時の家具や文具等なども展示されていてとても貴重だけど、科挙とかを知らないと何だか分からないかもしれない。残念ながら日本語の説明プレートはなかった。
羅東駅と国立伝統芸術センター間のバスは1時間に2、3本ぐらいあり、2時間ぐらい滞在して駅に戻った。
今度は間違えないように「一番早く台北に着く列車のキップをください〜」。間近では2本ぐらい列車があるのだが、渡されたのは1時間後のピユマ号だった。混んでいるのか席はバラバラで車両も違っていたが、どうせ叔父はビールを飲んでグガ〜だから一人でも良く、寝過ごさないように台北付近で叔父の車両に行けば済むだけなので問題はない。
時間があったので一服しに西口に出てみれば、以前来た時の光景があった。こちら西口が旧市街で、東口は国立伝統芸術センターなどを含め新たな都市開発が進む新市街だったことが分かった。
捷運などはホームと線路の間に安全扉が完備されたりしているが、たいていの台湾鉄道の駅はどこかしら昔の雰囲気を残していて、ただホームに立っているだけである種の郷愁を味わうことがある。
叔父は何かのプライドがあるのだろうか、海外に行ったら日本食は食べないみたいな思想があるようだが、さすがに日本食が恋しくなり、その妥協案的に「昨日行った店にチャーハンがあったよね・・」。
で、昨夜に続き台湾食堂「伍柒玖(五七九)」へまた行き、ちゃんとチャーハンがあるかどうかを叔父が入り口のメニュー看板でチェックしているのを、店内からおかみさんと娘が見て笑っている。「あれ、あの日本人また来たよ」とかだろうな。
|