森が好きな私は どこにいても森に行ける そこは地図にも無い場所で でも確かにどこかへ道が通じている所 小鳥の鳴き声もせず 葉の落ちる音もしないが 遠くに風が渡って行くのが分かる場所
森が好きな私は しばらく森をさまよって 木々の澄んだ魂に囲まれて そうして何もなかったように戻ってくる 時々人に聞かれるのだ 「いったいどこへ行っていたの? 遠い所へ旅してきた人のような顔をしている」 そうかもしれない きっとそうなのだ 左の手のひらに まだ森の匂いが残っている