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Time To Time 1993-1995 : 36-5
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スペインの雨


旅の終わりはいつもどしゃ降り
それは選んだ季節が悪いのかもしれないし
これ以上の旅を諦めさせようとする
何かの配慮かもしれないが
窓ガラスが割れそうな強い雨音を聞いているうちに
さっき買った革細工のベルトは
早くも菌類に覆われていて
青緑色に発光している
鞄に全てのものを詰め終わる頃
セバスチャンが
ルームサービスの熱いミルクティーを持って来て
「今度は私の国へ行ってください」と
スペインの住所を書いたメモをくれる
「母親に会ってくれるといいのだけど」
「グラシアス、セバスチャン」
雨の中を駅に向かいながら
スペインの雨を想像する
雨の中の黒い牛や
雨音に消えて行く
ラテン系の言葉を想像する
北国へ働きに出たセバスチャンと
異国から異国へ渡って行く
自分の上に降る雨は
どちらが重いかと思いつつ
鉄錆の匂いの湯気を頭から立てている
灯かりの点かない二等車に乗る

Time To Time 1993-1995

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