星の位置
空の端が青紫になるころに
輝いていた一等星が
いまどこにあるのか分からない
パソコン画面の白色の反射を顔に残したまま
ベッドになだれこんだが
三杯のモカコーヒーのせいで眠れない
両手を広げ左膝を少しだけ上げ磔刑の形
目を閉じる
数年前に訪れた冬のアイルランドの海岸
岩海苔しか採れない岩に
返す余裕のない波が
飛沫をあげて押しよせ
この荒涼を体は本能的に警戒した
ベッドに押しよせる波に流され
あの星の位置はまだ分からず
星は亜硫酸ガスに包まれて
どこかで輝いている
体は十字形のままに
アイルランドの海に流れ出す