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ボッキ〜中島のアミーゴ南蛮珍コ道中記 5-3
スペインの田舎バス

 私達は4年振りに会うホアキンの住む町へ行くためにグラナダと云う町からローカルバスに乗った。車内半分後が喫煙コーナーだから本能的に後へ。
 車内はガラガラで、私が座りたかった最後列には若い女の子とオジサンが仲良く話していたので手前の席に座った。

 煙草をスパスパやりながらカミさんといろいろ喋っていると後に目線を感じた。振り返ってみたらさっきの16才ぐらいの、もし日本でモデルやったら絶対売れるだろうなぁくらいの可愛い女の子が「オラーッ!(こんにちは)」。私も美人は嫌いじゃないので「こんにちは。」と言ったら、いきなりすごい訛りのスペイン語で話しかけて来た。私のカタコトのスペイン語もどちらかと言うと訛っているのだが、そう福島弁を喋っている人が津軽弁を聞いた感じだろうか・・・キョトンとしていると隣のおじさんが通訳?してくれて、こっちは分かった。良くある外国人への質問責め。

 途中の人口数千人ぐらいの小さな村に住んでいるらしい。
 そんな人達から見れば、遥かかなたから来た土星人夫婦に見えたのかもしれない。私達、特に私の一挙一動が不思議でたまらないらしくて鼻毛の数まで数えられてしまった。

 喫煙国スペインではコーヒーを飲み干すようにフィルターまできちっと吸うが、日本ではそうではない。特に私はタバコを吸うことが途中で飽きてしまうのか、だいたい半分手前で消してしまう。

 「何で途中で消すの?日本人は金持ちだから(おいおい)?それに煙をちゃんと肺の奥まで吸っていない。途中で吐き出している(良く見てるなー)。」
 「半分以上は美味しくないし(気分的ね)、ちょこっと吸うだけで私には充分なのね。」と言っったが、彼女の疑問を解消させる返答ではなかったようだ。
 「私は金持ちだから沢山金を使わないと税金を沢山取られてしまうのだ。」と言えば確実に彼女を満足させたに違いない。もっともそんな金持ちだったのなら、わざわざローカルバスになんて乗らないのだけれどね。しかし、スペイン人からするとこの行為は不可解みたいだ。・・と云うような所から少しづつその国の文化を学んで行く・・んな訳ないか。その後、毎度の日西文化交流に乗っ取って、写真撮ったりワイ談やギャグ話で盛り上がった。いつも私はこれだ。他にないのか・・・・。

「写真できたら送ってくれる?」
 スペイン、特に南部ではこれがクセモノであって、結構文盲率が高いのだ。文字を書く機会なんて殆どないのか、住所を手帳に書いてもらっても3割ぐらいスペルが間違っている。私がスペイン式にならってゆっくりフィルターまで吸い切っても彼女は一生懸命書いていた。そして一文字一文字丁寧に一生懸命書いてくれた住所と名前は、残念ながら私には中華ドンブリの模様にしか見えなかった。後でホアキンに書き直してもらって無事彼女に写真を送る事ができた。でも返事はない。嫌われたか?

 彼女達は手前の停留所で降りた。
バスが発車して行くまで大きな荷物を持ちながら、束の間の一時の知合いの私達にまるで家族や恋人との別れを惜しむような笑顔?で見送ってくれた。スペインの良い所ってコレ、この表情なのだ。改めてそう感じた時、真っ青な空が視界一杯に広がり、ホアキン達が待っている町の大聖堂がその先に見えた。


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