歯医者へ行く道
雨上がりの夕方に
歯医者へ行くのに外へ出た
それは木々の一本一本が
一、
二枚ずつ葉を落としているような
秋の入口のことで
私は不思議な感じの
青緑色のコートを着て
ズキズキと痛む奥歯に拍子を合わせて
永久に続くような並木道を
亡霊のように歩いていた
時々体だけが前に行くので
歩いて行く自分の後ろ姿が見えるのだ
痛い歯の方が下がっていて
何か違う病気の人のように見えたが
魂が体に戻ると
ズキズキと奥歯はリズムを発し
風に揺れた木からいっぺんに水が落ちて
こんな日もあるのだと
ずぶ濡れのコートでたたずんだ