凝灰岩の村
凝灰岩の採掘場のある村では
道路際に
凝灰岩の壁が続いている
それは飛び出し 引っ込み
対面から見ると
ところどころ墨汁を落としたような筋が
地面まで届いている
岩崖に張りついた家の玄関先に
茶色い犬が居る
尻尾も腹もあごも地面に付けて
ジョルジュ
ほんとうの名前は知らないけど
ジョルジュと呼んで
あごの下に手をやると
体を起こして私の頬を舐めた
そばにクリーム色の薔薇が一本
結構しあわせなんだね
家の中から誰かが覗いている
道路を横切って
やって来たバスに乗る
振り返るとただ
凝灰岩が張り出していて
このバスがどこへ向かうのか
分からない