ポンプが故障して 血が頭へ上がらない ハンペンのような顔に目を付けて歩いてみるが 頭が腰からぶら下がり血は頭に流れ込み 紅花となって 道路を舞ってゆく ポンプが道端に置き去りにされ 「イの5」と識別されて 病院のガラス瓶に入れられる ポンプは遠い記憶をたどるのだ かすかなかすかな 温もりを思い出すのだ あの日花びらとなったヒトは何歳だっただろうか 新しい命の無線連絡を待ち ポンプはかすかにわずかに薄膜を揺らす