秋の日に
秋の日に写真を撮りに出た
友人と三人で車に乗って
300キロ向こうの渓谷で
私たちは持って来たコーヒーを飲んだ
私は友人と話していたが
私によく似た人が
ひとりで渓谷にカメラを向けているのを見た
坂を下って行くと
後ろから付いてきた
湖のほとりのレストランで
テラスに座っている彼女を見た
ひとりでも淋しくなかった
私は友人と夕食をとった
帰りの道路で
青い小型車で前を走っているのが
誰なのか私は知っていた
夜目に蒼ざめた表情が
バックミラーに映っている気がした
高速道路を降りるとき
青い車はそのまま行ってしまった
何の合図も無しに
私は一体どこへ行ってしまったのだろう