この季節 金色の銀杏は天に向かって伸び 家の破風屋根は天に向かって伸び 猫の耳は天に向かって伸びる
それが合掌の形と気づいた時に 銀杏の向こうを駆け抜けて行くもの 黙礼する私に片目をつむり 翼の影が揺れる こうして最後の季節は過ぎて行く なんとなく晴れやかに なんとなく穏やかに