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Time To Time 2011-2013 : 36-22
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見送り


線路が直線からゆるやかな弧となるあたりに
立っていた

朝のホームで列に並んで

電車に乗らず 困ったような薄い笑い顔で
ドアのガラス窓ごしに
少しだけ手をふる仕草をするのが見える

捨てられた市松人形がブラウスを着ているような
白くさびしい顔のかたむき

それは一週間前から始まった

どこにも行きたくないと思った朝

バスタブに入ってこっちを見ていた

後ろを付いてきた

話しかけようとすると

困ったような薄い笑い顔で
少しだけ手をふる仕草をする

「いったい誰?」とたずねると

ただコックリとうなずいてどこかへ行く様子
わたしは知ってしまう

わたしの好きなカフェに行くのだ

それから図書館でノルウェーの[通知]集を見るのだ

白いシャツも欲しいから
街なかを歩いてみたりもする



雨の夜には律義にも

傘を持って駅で待っている

朝のホームでの見送りは習慣となり

小さく手を振り返して

やっと自由な一日が始まる
わたしも市松人形に似た影も

電車の窓ガラスに映る顔が一年分ほど
毎日年をとってゆく

Time To Time 2011-2013

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