秋の実
スーパーマーケットから
買い物袋を下げて
家に向かう途中
遠回りして公園を通った
落ち葉を足で
ちょっと空に向けて
カサカサと蹴りながら
白い玉のような実をつけた低木
「その実は毒だよ、気をつけて」
黒い大きな犬を連れた
大きな人が言った
「うちの犬が寄っていかないから
確かだよ
少し行ったところの
紅い実をこいつは好きだよ
きれいだから見てくといいよ」
犬も人もニッと笑うと
落ち葉の道を行ってしまった
原始人のような秋の実の情報
紅い実の小枝はひいらぎだった
晩秋の晴れた一日を
私は誰にともなく感謝した