食 卓
トゥルルルン ドアベルの音
ドアを開けたが最後
なだれ込む訪問者六人
部屋がいっぺんに収縮する
テーブルの上に
持ってきた野菜果物一品料理酒類を撒き散らし
私はすっかり不愉快になる
破壊されるスケジュール
モザイクとなって飛び散る
あんなになにも持ってくるなといったのに
なんてありさま
六人の武者は
スケジュール通りのメニューのほかに
持って来た野菜果物一品料理酒類をたいらげて
私がテーブルの周りで手をつないで踊ろうと言ったのに
もうそんな気力もなくて
黒いマリモのような球になって
うつらうつらと揺れている
私はひとり食後の熱いコーヒーを飲む
部屋がもう限界だと言い ノビをしたので
六個のマリモははずみで
開けてあった窓から列をなして闇のなかへ消えていった
重力があるのに風船のように
私はひとり熱いコーヒーを飲む
テーブルにはコーヒーカップ以外何もない
月が六個空に浮んでいるだけ