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隔月誌「築地物語」 No.17 1992.7 掲載 世界の市場特集:スペイン・マラガの魚市場 Vol.1 |
日本人の男はみんな空手家で、女は芸者と思われているように、男は闘牛士、女はフラメンコのスペイン!
日本から約1万km、飛行機で約15時間、首都マドリッドから500kmの地中海に面する南端の都市マラガ。夏になるとヨーロッパ中の人が太陽を求め、トップレスギャルが海岸を埋め尽くすこの街の市場は如何に?ということで、築地感覚で夜も明けぬ3時にマラガ港に到着したのだが門が開いていない。どうなってんだぁ?
明け方から飲みまくっている光景に戸惑いながらやっと5時に市が始まったのだが、モノが総てシジミ、アサリ類ばかりで、しかもセリをする人もいず、どちらかと言うと個人販売風だ。 さて、6時きっかりにサイレンが鳴りやっとセリが始まる。市場の脇に横付けされた漁船から,それを待ち受けるかのようにたくさんの魚が運びこまれ、床一面に並べられた種々雑多な魚介類は,小物だけれどもやはり壮観である。南方と言っても、沖縄諸島の様なオールカラー総天然極彩色ではなく、関東で見られる魚とそうたいして変わりないので安心して見られた。
セリの方法も、仲買人は自分の屋号の書いた紙切れを持っていて、セリ落としたらその紙を魚の上に乗せるというもので、日本と同じだ。 そして、7時のサイレンと共に本日のメインイベントよろしく何台もの冷凍トラックが所狭しと入ってきて大物の登場だ。ホント待ってました、って感じ。鮪、カジキマグロ、鰹、ボラ、1.5mぐらいの鮫などが並ぶのだが、せいぜいそれも10匹ぐらいで、あの築地の様なズラーッと鮪の並ぶ威圧感はなかった。刺身を食べないスペイン人にとって、鮪は単なる大きな魚ぐらいにしか思わず、電動鋸で何も考えず輪切りにしてゆくのが、あ〜、勿体ない!唯一食べる刺身は、小さな鰯のはらわたを取ってそのままオリーブ油付けて食べるのがあるがあまりにも魚臭い。
余談だが、スペインでは豚の脳味噌(ちゃんとスーパーで、しかもむきだしで売っているのだ!)を茹でて、スプーンでプリンの様に食べるそうだが、想像したくない。白子の天こ盛りと思えばそうなんだが。 さて8時に市が終わり、仲買人達は8時半から始まる場外市場へ魚と共に駆けつけ、午後の2時まで自分の売場にて、私達に新鮮な魚介類を売ってくれるというわけだ。ここでの値段表示は総てキロ単位で、どの魚介類もだいたい1000円前後というところ。
ところで私は、先の市場にブラブラと9時頃までいた。
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