ひょんなことから子猫がやってきた。
友人のスペイン人に似ていたので、その名前「ロベルト」と名付けた。
翌年、また子猫がやってきたので友人の名前「ルルデ」とした。そのまた翌年、今度は人間の子供ができたのだけど、誰にも似ていなかったのでスペイン人の名前をつけるのはやめた。
暮しを共にすれば家族の一員と思うようになり、魚の残飯を夜中に取り出し床の上に食い散らかしても、受話器を蹴っ飛ばして終日電話が不通になっても、私の椅子の上にゲロを吐いても、せっかく上等な鯛の刺し身をやってもトロしか食べなくても、スリッパで叩く以外、怒らなくなった。
ロベルトは非常に優秀で、「ロベ〜」と呼ぶと尻尾だけを振り、何故か「ルル〜」と呼んでも尻尾を振り、犬のように近寄ってはこない。空腹時のみ近寄ってくる。
ルルデは外には出ないので家人にしか慣れず、誰かが遊びにくると隠れるように逃げてしまい、友人からは「幻の猫」と呼ばれている。
いつも一緒の布団で寝ているのだけど、踏みつぶしてはいけないと思うのだろう、夜中に気づくと猫は布団の真ん中で寝ていて、私は布団の外で丸くなって寝ている。冬場は辛い。
そんな、ひょうきんな悪ガキ「ロベルト」と、深窓の令嬢「ルルデ」をちょこっとだけ紹介いたします。