いつだったか鳥取の米子で写真展をやり、その米子のビジネスホテルに泊まったら朝食に塩鯖が出た。
どこにでもある小さな塩鯖が一切れ小さな皿に乗っていた。気にもせずに食べたらこれが超美味×100万馬力。適度に塩気が効いていて、干した鯖の香りが口の中に広がり、こんなに美味い塩鯖、生まれて初めて食べた。
翌日、地元の友達宅に泊めさせてもらいそのことを話したら、酒の肴に同じような塩鯖を出してくれて、同じような美味さに感動したことがある。39歳の時。
「これ、どこで買ってきたの?」
「その辺の普通のスーパー売っている200円のヤツ・・」
別に鳥取だけが美味い訳じゃなく、おそらくお隣に島根や兵庫だって海沿いとかなら美味いのだと思う。
海のない埼玉は置くとしても、海のある神奈川、千葉、東京だって、旅館や食堂で出された塩鯖がこんな美味かった記憶がない。
同じく鳥取に住む大学の後輩と何十年振りに会い、5千円札を渡し「塩鯖を20個買って冷凍宅配で送ってよ、残りは手数料でよいからさ」。送られてきた塩鯖は確かに美味く、ご飯が進んだ。
数日前、近所のスーパーに行って、そのことを何故か思い出し、二切れ275円の塩鯖を買ってきて焼いて食べた。
塩気も香りもゼロで全然美味くない。醤油をちょっと垂らし「今、鳥取の塩鯖を食べているのだぞ」と言い聞かせて食べる。長女ルルデが香りのない塩鯖の匂いに釣られてやってきて「にゃぁ~」。
猫にはその味とかは関係がないのだろう、ムシャムシャムシャと、1/3を食べられてしまった。
山陰に行ったらカニとか刺し身はどうでも良く、とにもかくも塩鯖だぁ~。
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