道
やがて現れる十字路
北は星へ続く道
東は水へ続く道
西は町へ続く道
南は今まで歩いてきた道
目をつぶって十字路に立てば
体は自然に向かう
これから行く道の方向
町は透明なほどに寂れていて
羊が通りにも食堂にも
教会にも薬局にも溢れている
羊は牧者を求めているのか
あるいは通り過ぎる影にさえ
気づかないのか
食堂で一杯の葡萄酒を飲み干すと
また十字路に立っている
カメラには
撮ったはずの写真が残っていない
元来た道を南に向かう
途中どこであの十字路に行ってしまったのか
拒絶した羊たちは
まだ牧者を待ち続けているのか
気配で振り返れば
羊が一匹付いてくる
思わず「ああ」と声をかけ
並んで歩きながら
この旅の最初と終わりの意味を知る