霧の中から突然起きるので それを予測できずに まずマングローブの根元の 牡蠣が流され エスカルゴが流され 砂金や 干してあったシャツや 置時計や 髪や爪が流され かろうじて心が 木の枝に引っかかっている 水は透けた青緑色で 芳香もするので 私はじっと待っているのだ 水が木の高さに達し 微かな恍惚感とともに 心が急激に流れ始める瞬間を