INICIO > Exposi. >
10-3
 ウサギを煮る

スーパーマーケットの一番奥で
ウサギの肉が手に入る
それがとびきりおいしかったと
ヤンという友達に話したら
ヤンは翌週ウサギを一羽持って来た
キッチンスツールに腰掛けて
詩集を読んでいる間に
さばいてくれることに交渉は成立し
私はゲーリー・スナイダーという人の
詩集を読みつつ
時おりウサギの惨事を片目で見た
ナタとキッチンバサミで
ウサギの手が飛ぶ足が飛ぶ
「ピーターのお父さんを食べたのは
 隣の家の何という人?」
振り向いた男の顔はちょっと凄みがあったので
このままでは愛し合ってしまうかと思い
急いで本に顔を戻す
ウサギはピンクの肉塊となって
ヤンはトマト煮にしてもおいしいし
クリーム煮にしてインゲンを入れてもいいよと言った
ヤンにお茶でも出そうと思ったが
ヤンは石鹸で爪の中まで洗うと
ビニール袋にウサギの頭や尻尾を入れて
「さようなら」と帰って行った
半分は冷凍にして
半分はヤンには悪いけど
塩ゆでにした後和風に味付けした
スープ鍋にヤンの青い瞳が映っている
「ピーターのお父さんを食べたのは誰?」
 それはひとりぼっちの誰?

Time To Time

10 - 3

前へ/Anterior
 intro.  1  2  3  4  5  6  7  8  9  10 
次へ/Siguiente

Volver