HOME > 写真集 >
36-2
 夾竹桃

白い夾竹桃が咲いていた
それは微かな羞恥心を与えた
紅い夾竹桃が咲いていた
それは残っている微かな希望を思い出させた
夜に細かい星が降った
潮騒が聞こえていた
うっすらと砂塩の積もった路を
猫が足跡を残さず歩き去った
アパートの表の灯は暖かく
白壁とオレンジ色のスペイン瓦が
古代から在るもののように
そこに存在していた
自分の小さな生活を背にして
バルコニーからずっと夾竹桃を眺めていた
そして季節の変わり目に
あの海辺の町を去った日に
頭の1/4をあの町に置いて来た
それからもうどこへ行っても
生活も無く遠近感も無く
白い夾竹桃の枝先に
私の頭の1/4はぶら下がって風に揺れているのだ

Time To Time

36 - 2

前へ/Anterior
 intro.  1  2  3  4  5  6  7  8  9  10  11  12 
 13  14  15  16  17  18  19  20  21  22  23  24 
 25  26  27  28  29  30  31  32  33  34  35  36 
次へ/Siguiente

戻る