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36-3
 哀しみの泉

石を伝って水が降りている
近くに泉が在るのだ
その水に触れてみるがいい
水は手を入れると青く染まる程透んでいて
青草の様な味がする
旅人はそこで靴を脱いで
足に水を懸け顔を洗えばいい
近くの通りがかりの者は
昨日よりも少し老いた顔を
水面に映そうとするがいい
だがこの泉に訊かれたら
応えてはいけない
「自分の人生が好きですか?」などと
泉はつまらなく信実な問いをする
ああ、それに応えたらいけない
大人になって久しく
やっと怖いものも消えかけた時に
その不意打ちに会ったなら
心は子供の頃の哀しみでいっぱいになり
死ぬまで苦い泉の水を
体の隅で流し続けることになるのだ
詩人として
旅人として
永劫の命として
ああ、それに応えたらはいけない

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