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36-25
 殺しについて

「誰が犯人か当ててごらんよ
君には判らないかもしれないね」
男は分厚い本をわたしに渡す
犯人なんて判らない
誰がどこで殺されようと
わたしの知ったことではないのだ

どうせ最後から三十頁以内に
全てが解決するというご苦労様な本で
わたしは登場人物一覧表を見て
「マーク・クレインが犯人だ」と言った
男は目をむいて驚いて見せ
「どうして判ってしまったのか」と言う
一番どうでもいい名前を言っただけ

本をキッカケにもっとお近づきになりたいなんて
オロカサのリミットを越えている
わたしが猫と同じ皿でスープを呑み
猫を腹巻きにして眠ることを知ったなら
可愛さ余って絞殺の機会を狙っている
その事実を知ったなら
この男は何と言うのだろう
並みの推理小説に頼るより
小さくても確かな殺し
憎しみの無い利益の無い
愛情だけの殺しを理解できるなら
わたしはあなたとお友達になってもいいよ
埋葬を手伝ってくれるのなら
恋人になってもいいんだし
よく考えて応えを下さい
今のあなたの考えは鏡の裏よりまだ遠く
鏡にはわたしと愛する猫が
アカンベーをして映っているのだ

Time To Time

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