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36-28
北へ

各駅停車に乗り込んだ
底冷えのする夜明け前に
遠くの半島は薄墨色で
青灰色の海はまだ眠っている

また来てしまった

松原の向こうの砂浜を
カーキ色の作業服で歩いているのは
近所の漁師だ
犬が入江まで走って行って
浮いたような足取りでターンす

また来てしまった
この何も無い北の海へ

疲れた心臓はしわがより
やつれた視線はひびわれる
でももういいのだ
また来てしまったのだから
もういいのだ本当に

だんだん心は透明になり
瞳はガラス玉に変化する

眠っている海の上を
電車よりもゆっくりと
風が半島を渡って行く
わたしは先に半島に着いて
渡って来る風を坐って待つのだ
透明な心と
青いガラス玉の瞳で
渡って来る北国の白い風を待つのだ

Time To Time

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