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Time To Time 1999-2001
Time To Time 1999-2001

 帰る地

ふところに羊を抱いている
ごわごわとした毛は奥深く
手首まで埋もれてしまう
ふところに牛を抱いている
湿った鼻は冷たくて
漆黒の瞳は鏡のよう
ふところに雨雲を抱いている
灰色の雲の固まりも
つかめば青い霧になる

バスに座って
ふところに
私は草原を抱えている
羊と牛がそれぞれに鳴き
帰る地を私に催促する
雨雲は分かったように
心に雨を降らせ始める
帰る地がどの方向にあるのか
今となっては分からずに
私はもう数年も
遊牧民となって
さまよっている

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