領収証

 世話になった葬儀屋Aには、いろいろな場所に葬祭場があり私の選んだのは2階と3階にホールがあるのだが、いずれも一般葬向けの広さのみで家族葬向き小規模な広さのはない、というのが後にちょっと調べてみて分かった。そのような小さなホールで行えば70万円ぐらいになったかもしれないが、果たしてそれが近所で便利なところにあるかどうかは喪主の所在地如何に因るところである。
 とすれば一般葬向きのホールでの90万円代とは、互助会に入り近い将来一族みんなそこで挙げてもらうことを願う出世払いが含まれていたのかもしれない。

 値段交渉後、我が家ご用達浄土宗の寺に出向きメインディッシュであるお布施の確認を行う。
 「お布施はお気持ちですからいくらでも」というのは昔の話、「じゃ、1万円で良いや」と言いきる私のような輩が多いのだろうか最近はきっちりと明示してくれる。
 2年前に親父と台湾でいつも飲んだくれている叔父の兄である伯父の葬儀の時、別の宗派だけど、お布施(戒名+通夜と告別式のお経)が領収書なしの手渡しの80万円、と聞き、みんなで「ボッタクリのクソ坊主~」と叫んだ記憶があり、またお布施には、値切りも色を付けないと聞いていたので、一体いくらなのか内心ドキドキで、あまりにも法外な金額だったら墓を取り払って樹木葬とかにしようかと思いあぐんでもいた。
 はるか50年前、寺と墓で良く遊び、見つかる度にしかられまくっていたその若き坊さんも今や高齢の大住職である。また、そのクソガキも今や還暦リーチの初老にかかっている。
 「前回のお父様の時のを参考にして言えば・・」と言い、おお、Mac proが買えるぐらいの金額である。加えて「一般の戒名(信士・信女とか)でしたらお金は取りません、あくまでもお経だけです」のようなことを言っていて、蛍光灯下に座っている住職の頭に後光が射すようであった。浄土宗だけなのかこのお寺だけなのかは分からないけれど、我が家の墓がこのお寺にあって本当に良かったと始めて思った。足代と飯代の5,000円ずつ×2日間 = 2万円は別渡し。

 告別式が終わった後、住職から封筒を手渡され中身を見たら、なんと領収書が入っていた。
 お布施の領収書なんて初めて見た。収入印紙が貼ってないけど、えーんだろうか。宗教項目は免除とか。
 良き話としてはここで終わるのだが、これを鵜呑みにしてはならず、経理上お布施全くのゼロではあまりにも脱税ですよ!なので、このような少額(庶民からすれば大金だけど)は計上し、先の大金などは手渡しの領収書なしとで処理しているのが現実、と見なすのが大人の常識かもしれない。

 佛教大学の授戒会でもらった浄土宗の数珠と袈裟を身に付けて浄土宗の坊さんのお経を聞くのは、心なし嬉し、いや心が休まった。お経の中には懐かしの「同唱十念」もあり、詩の「月影の~♪」もあり、浄土宗系の高校出身の娘と目が合ってニヤリ~。
 宗教、見てくれの気分も大事だ。

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