体育の日 その2

 臨終と言ってもその直前まで心臓が動いていて意識があった訳ではなく、善処尽くした延命処置の終了を余儀なくされた時間である。母の危篤時にも飯喰って土産を買っている親不孝モンかもしれないけど、幸いに到着まで2時間ぐらいあったので車中今後の段取り等を打ち合わせすることができた。

 4時前に着いて担当医から経緯を聞かされ何枚かの書類にサインをし、死亡届をもらって慰安室へ。
 想像していた慰安室とは違い普通の小さな部屋で、脱脂綿とかで体を綺麗に拭き、薄化粧をもしてくれたばーちゃんが白装束を着て横たわっていた。この処置は5万円だそうだ。生きている人間なら保険で間に合うが生きていない人間だからだろう、妙に納得。
 「どこかの葬儀屋さんとかご存知ですか?」と、言われたって、ふつーいないよ、そんなの。
 斎場で大事なのは価格もそうだけどロケーションだと思う。幾つか見せられた葬儀場パンフから一番アクセスが便利な場所の葬儀屋を頼んでもらった。
 1時間後、白衣を着たその葬儀屋さんがやってきてばーちゃんをワゴン車に乗せ、「私どもの場所は、こちらでございます」と見せられた地図には、果たしてその良く知っているメモリアルホールがあった。

 ホールに着いたら仮設風クーラーの効いた小さな部屋にばーちゃんは寝ていた。
 夜遅く8時、私の寺と焼き場に連絡をして最短スケジュールを先に取り決める。葬儀料等の取り決めをする前にだ。それは翌朝9:30から。
 ざっくらばんと先方のお勧めコースを聞いたら、思わず出されたお茶を吹く出すぐらいの140万円。寝言いってんのか?だ。こういう葬儀料の平均は110万円らしいが、全国平均なので今一つ目安にならない。
 無理やり長生きのデメリットを一つ挙げるのなら、故日野原先生のような方を省き、自分の葬儀への参列者が少ないことだと思う。当人からすればどうでも良い事なんだけど。
 80歳を超えれば、そのお友達は先にイっている人も少なくなく、イっていなくても入院中、施設入居中、または腰や足が悪いなどで来られない人も少なくない。そしてばーちゃんは主婦なので親戚以外の知り合いは近所のばーちゃん達ぐらいで、結果的に親戚合わせて10名ちょっと。
 こういうキャスティングに140万円はないだろう。
 確かに斎場と言っても車で言うとところのアルト〜デミオ〜マークII〜クラウンなどのグレードがあるので一概に価格だけで安い高いとは言えず、また同じ車種でもDX〜スポーツ〜サルーン〜ロイヤスサルーンなどのランクもあり、この140万円は、マークIIのスポーツのようだ。
 良く言うとねばり、悪く言うとぐずりまくり、最後90万円代で折り合いをつけた。嫌な客だと思われただろうな・・。

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