『雪国』

『雪国』

 「島村の指が覚えている」のフレーズを時々借用させていただいているので、ちょっくら読み直してみようかと思ったのが川端康成の『雪国』。
 やることのない夜も酒が飲めぬ昨今、あれやこれや縫いまくったミシンには随分と助けられているけど、そのネタも尽きかけてくれば、本でも読むか。台湾で買ってきた本や『台湾文化志』なども読んではいるけれど、さすがに外国語や旧仮名遣いばかりのを読むのは疲れてきた。
 
 最初に読んだのは高校1年生ぐらいだったけど、覚えているのは最初の数ページ、トンネルを抜けてから湯沢温泉駅に降りるまで。後は印象もなく内容も覚えていないので読んだうちには入らないだろう。「指が覚えている」だから、アレしかないと思うも、そんなシーンってあったっけ?だ。意外と文量少なく短編の部類に入るかもしれず、ヘミングウェイの『老人と海』、松本清張の『点と線』ぐらい。
 
 駒子と島村の戯れを通した湯沢界隈の情景描写の美しさに感動。写実的な表現で主観的な谷崎潤一郎のとは一線を画している。
 心理推移は駒子の対話で理解することができる反面、島村のは言葉少なく、その分、情景描写が代弁しているので、喋らない主人公としてのドラクエやミスター・ビーンなどを彷彿させてくれた。
 ストーリー、全くないデス。
 中途半端なところで終わっていて、思わず『雪国(下)』があるのかと思ってしまったほどの起承転で、「結」がない・・え、こういうのが文学。大作品なんだけど、どこかしら消化不良だ。調子ぶっこいて『伊豆の踊り子』も注文してしまったのがやや後のカーニバルだ。
 
 結局、島村の指は何を覚えていたのだろうか。駒子の手だったら怒るで~。

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