スペインでは国単位よりも地方、県の地元意識がかなり強く、その地域でしか使われない言葉がたくさんあって語学外国人学生は混乱する。だから国内ではバルセロナオリンピックは今一つ盛り上がっていない。
マラガの喫茶店なんかに行くとコーヒーにミルクをどのくらい入れるかの表があって、影、雲なんてのが10種類ぐらい明記してあるのだが飲んでみるとたいして差はなく、まして隣の県グラナダで影一杯、なんて言っても通じないのが頭痛の種だ。ブラック、カフェオーレは全国共通。
そう言えば、市場のオッさんが、アンダルシア地方はたくさんの魚の言葉を使うけれど、マドリッドなんかは少ないんだぜ、なんて自慢げに言っていた。
しかし実際魚の名前を尋ねたりしても辞書に載っているのは半分ぐらいで、どういう字だ。書いてくれ、なんて言おうものなら、オレは字を書けない、と言う返答が常だ。
後でスペインの友人に尋ねると、殆ど俗語、通称だから辞書に載ってなくてもしょうがないよ、と言われ、文盲の多さ故か通称の多さに驚かされた。
魚の命名は興味深く、体の綺麗さから鰹を「綺麗」、赤えびのことを形から赤ソーセージ、ほうぼうは泳ぐ時の色彩から金色など、なかなか文学的だ。しかし何故かロブスターとイナゴが同じ単語であるのが不思議だ。
南スペインの魚料理事情は、フライ、煮魚、フライパン焼きが殆どで、俗に云う開き、焼き魚はなく、刺身なんていうのは私達が猿の脳味噌を食べるのと同じ感覚だ。ただし生の貝類を割ってオリーブ油をかけて食べたりもするのだが全体に大味的薄味で、いつも塩を必携で食べていた。
ところで表題のマラゲーニョ、私達が東京下町生まれの人を江戸っ子と呼ぶのと同様にマラガの人をこう呼ぶ。マドリッドはマドリィレーニョ、グラナダならグラナディーノとなり、それなら築地の人をツキジィーノ、築地物語の愛読者は、築地物語ィーノにはならないかなぁ。